「最近は蚊を見かけなくなったので、フィラリアの薬はもう終わりでよいですか?」
 秋から冬にかけて、よくいただく質問です。
 犬のフィラリア症(犬糸状虫症)は、犬糸状虫という寄生虫が蚊によって媒介される病気です。蚊に刺されることで体内に入った幼虫は、時間をかけて発育し、主に肺動脈に寄生します。進行すると、咳、疲れやすさ、呼吸困難、腹部膨満などを起こし、重症例では命にかかわることもあります。
 月に1回投与するフィラリア予防薬の多くは、「飲んだ日から次の1ヵ月間、蚊に刺されても感染しないようにする薬」ではありません。投与時点で体内にいる若い発育段階の幼虫を駆除し、成虫まで育つのを防ぐことで、フィラリア症の成立を予防します。そのため、蚊を見かけなくなった直後に投与をやめてしまうと、シーズン終盤に蚊から感染した幼虫が体内に残ってしまう可能性があります。
 月1回投与する経口タイプの製品には、添付文書で「蚊の発生から蚊の発生終息1ヵ月後まで」、1ヵ月間隔で投与することが定められているものがあります。一方で、滴下薬には投与期間の表記が異なるものがあり、長期作用型の注射薬もあります。したがって、「最近蚊を見ないから」と自己判断で終わりにするのではなく、処方された予防プログラムの最終回まで確実に続けることが大切です。
フィラリア予防を確実に行うために
①最後の1回まで投与する
 蚊を見かけなくなる時期は、投与忘れが起こりやすい時期でもあります。スマートフォンの予定表やカレンダーを利用して、投与日を記録しておきましょう。
②毎月、なるべく決まった時期に投与する
 月1回タイプの薬では、定められた間隔で投与することが重要です。投与間隔が大きく空いた場合は、自己判断で対応せず、かかりつけの動物病院に相談してください。
③きちんと投与できたか確認する
 チュアブルタイプでは、途中で吐き出したり、食べ残したりすることがあります。食べ残し、投与後の嘔吐、投与忘れがあった場合は、追加投与を自己判断せず、いつ・どの程度投与できなかったかを病院へ伝えてください。対応は薬剤や状況によって異なります。
④予防開始前の検査について確認する
 フィラリア予防薬の添付文書には、投与前に犬糸状虫の寄生の有無を検査などで確認するよう記載されているものがあります。予防を安全かつ適切に始めるため、開始前の検査についても病院の案内に従いましょう。

 蚊を見かけるかどうかではなく、その年に決めた予防プログラムを最後まで完了することが、大切な家族を犬糸状虫症から守ることにつながります。
 なお、フィラリア予防薬の開始・終了時期、投与方法、事前検査の必要性は、使用する薬剤、地域、生活環境により異なります。必ずかかりつけ動物病院の指示に従ってください。

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