当時は明治の名残はとどめながらも、美濃地方の特産品であった雨傘は洋傘へ、ランプは電灯へと置き換わっていく一方、貴重品であった板ガラスが一般住宅に普及し始めていた。傘問屋に卸していた油の需要は先細りが必至。また在学中に近所から窓ガラスの破損補修を頼まれ、仕事として手掛けるようになったことも事業転換を後押しした。
素封家の従兄弟に事業構想を説明、3000円を借りて大阪・船場の問屋に向かい、15㌧積みの1貨車を丸々購入して帰郷。それまでの屋号「油甚」を使い、「油甚硝子店」としてガラス小売り商の第一歩を踏み出した。
樹脂にもアートにも
まもなく起きた世界的金融恐慌による大不況を乗り切り、岐阜県下はもとより滋賀県全域へも販路を広げ、創業から15年後には業界の金看板と言われた旭硝子特約店の資格も取得。戦時下では軍需用ガラスの販売に重点を置き、経営基盤は拡大していった。
岐阜大空襲で店舗・倉庫を焼失したが、終戦の年の年末には店舗・倉庫を再建し、戦後復興にも貢献。1950年代後半には自動車産業の発展を予測し、さらに新建材アクリル樹脂の機能性にも着目。関連会社や事業部を設けて各事業化に着手する。
高度成長期に入るとさらに多角化、大型化、近代化を推し進め、物流センターや近代的加工センターをいち早く整備。アート性の高い製品も提案していくなど、ガラスに対する大型化・多様化・高度化のニーズに応え、今日への礎を築いていった。
新たな体制を構築
ガラスを中心に発展してきたハヤシグループだが、頻発する震災で潮目が変わる。社会ニーズが「割れて危険なガラスよりアクリルがいい」となり、ガラス需要が減少、曲げ加工などの技術伝承なども危うくなっていく。
そこで2004年、塩ビやアクリル樹脂を扱う「アクティブハヤシ」を核とする組織に再編成。現在の主力は看板事業者へのアクリル板提供だ。また自社製のアンテナ商品としてLED照明付きの刀ケースを発信。在日大使館などからも問い合わせがあり、従業員のモチベーションアップにもつながっているという。さらに近年は遊具分野にも力を入れている。
「しかしガラスで始まった弊社ですから、残せるところは今後も残していきたい。そこで5月末に別会社の『アートグラス』を当社の事業部として取り込み、存続を図ります。厳しい時代ですから、次の100年に向けて総力戦でいきます」(林英之社長)。








会社概要
本社 岐阜県羽島郡岐南町三宅三丁目264
URL https://www.a-884.com/
創業 1825年4月
設立 1947年6月
資本金 4500万円
事業内容 塩ビ・アクリル樹脂を素材にした広告用看板、フレキシブルシート、アルミフレーム看板の製作・販売/店舗ディスプレイのなどの製作・販売/ガラス加工・ガラス卸業
〔関連会社〕
ニューライフハヤシ(損保ジャパンほか生損保代理店)
年表
1925年/ガラス小売商・油甚硝子店創業
1930年/岐阜市一松道に摺・結霜ガラス加工場開設
1939年/旭硝子特約店となり卸商に転業
1945年/岐阜空襲により焼失した店舗・倉庫の復旧工事完成
1946年/岐阜市吉野町に鏡の生産部開設
1947年/個人商店を株式会社林硝子店に改組
1950年/損害保険事業部開設
1957年/自動車産業の発展を予測し東海自動車ガラス株式会社を設立
1959年/新建材アクリル樹脂を扱う化成センター事業部を発足
1961年/建築ガラス工事の専門化、大型化の必要性を痛感、硝子工事部を分社化し、株式会社東海を設立
1964年/問屋業としての近代化・大型化のため羽島郡岐南町にハヤシセンターを建設
1973年/ガラス需要開発のためアートグラス設立
1974年/近代的装備の加工センター完成
1977年/中部圏の営業拠点として小牧市に株式会社ハヤシ名古屋センター設立
1978年/株式会社ハヤシを中心とするハヤシグループとしてのシステム経営を図り、化成センターハヤシをはじめガラス、サッシなどの事業部を法人化
1982年/CNC加工機を導入、ガラス加工部門の専門武装化を図る
1983年/製品や技術の展示を行えるよう岐南町にハヤシ情報センター(現本社ビル)を竣工
1984年/アートグラスに合わせガラスと火造ガラスの生産設備を開発し新事業部を発足
1985年/ガラスセンターハヤシ、サッシセンターハヤシを対等合併し、株式会社ハヤシガラスセンターを設立
1990年/アートグラスの新製品売り上げ増に伴いスーパーラミ(樹脂合わせ)工場建設
1991年/ガラス工事の大型化に伴い国内2台目のグレージングマシン導入
1993年/ガラスセンター施工部門の効率化を図るため工事センターと合併
1995年/株式会社化成センターハヤシを株式会社アクティブハヤシに社名変更
2004年/株式会社ハヤシと株式会社アクティブハヤシが合併
2025年/創業100周年を迎える























