「アブソーブ(absorb)」とは、スポンジが水を吸収するなど、物体が液体やガスなどをその中に取り込むことを指し、アブソーブセラはその名の通り、スポンジ並みの吸水性を持つ。
材料としているのは、粘土と燃焼消失性粉状物。これに適宜な水を混入してブロック状、ペレット状などを成型、通常の陶磁器よりも低い600~800℃の設定で6時間ほど焼成することで、粘土粒子が非晶物質に形成されるとともに、ひび割れを適宜の箇所に生じさせ、また練り込まれていた燃焼消失性粉状物部分が数?~数10?の空隙となってスポンジのような多孔質構造を出現させ、優れた吸水性を実現する。
「特定の陶土である必要はありません。燃焼消失性粉状物も、もみ殻など手に入りやすくて廃棄物となっているような物を有効活用できるのもポイントです」(石崎氏)
水谷氏、石崎氏らの「ABSORB CERAプロジェクトグループ」が「放射能汚染水処理」の方法として考案したのは、トリチウムは除去しきれていない処理水を、科学的処理に頼らず、アブソールブセラに閉じ込め固体化するという物理的処理によって安全・確実に管理するというもの。
汚染水を吸収させたアブソーブセラからの放射能放出は抑えられないが、周囲の壁と上部の蓋で遮断。放射能が10年で半減、20年で4分の1となっていくのを待ち、無害化したものから順次、コンクリート骨材としてリサイクル活用していけば、廃棄ロスがない。護岸ブロック、波消しブロック、プレキャスト部材などの素材として十分検討できると見込む。
同案は最終3案に残ったが、採用には至らず、2023年8月からより安価な海洋放出が始まった。しかし放射能汚染水の発生は当分続く。
前述のように、アブソーブセラの活用方式なら、原材料は現地調達のものでよく、原発施設の隣接地にセラミックの製造拠点を設ければ、現地の陶磁器事業者の手による生産、保管・管理で雇用の創出も見込めると、石崎氏らは今後への期待を持つ。
その一方、汚染水処理以外での用途開拓も模索。配合の調整で、吸水性ではなく透水性を持つものとしてつくることもでき、既存の透水性コンクリートよりも低コストとの試算もある。材料調達、製造のハードルが低いことを生かし、国内外で役立てられることを目指している。

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