超軽量な多孔質構造の陶磁器、「アブソーブセラ」は、四日市の地場産業である萬古焼の窯元「水谷商店」の水谷泰治社長らが開発したもので、製造方法および、その特性を生かしての放射能汚染水処理方法を特許出願(特許第5706573号)。物品販売などを幅広く手掛けるクリエイト寿づかの石崎靖典社長が企画・販路開拓などを担当している。
 「アブソーブ(absorb)」とは、スポンジが水を吸収するなど、物体が液体やガスなどをその中に取り込むことを指し、アブソーブセラはその名の通り、スポンジ並みの吸水性を持つ。
 材料としているのは、粘土と燃焼消失性粉状物。これに適宜な水を混入してブロック状、ペレット状などを成型、通常の陶磁器よりも低い600~800℃の設定で6時間ほど焼成することで、粘土粒子が非晶物質に形成されるとともに、ひび割れを適宜の箇所に生じさせ、また練り込まれていた燃焼消失性粉状物部分が数?~数10?の空隙となってスポンジのような多孔質構造を出現させ、優れた吸水性を実現する。
 「特定の陶土である必要はありません。燃焼消失性粉状物も、もみ殻など手に入りやすくて廃棄物となっているような物を有効活用できるのもポイントです」(石崎氏)
 水谷氏、石崎氏らの「ABSORB CERAプロジェクトグループ」が「放射能汚染水処理」の方法として考案したのは、トリチウムは除去しきれていない処理水を、科学的処理に頼らず、アブソールブセラに閉じ込め固体化するという物理的処理によって安全・確実に管理するというもの。
 汚染水を吸収させたアブソーブセラからの放射能放出は抑えられないが、周囲の壁と上部の蓋で遮断。放射能が10年で半減、20年で4分の1となっていくのを待ち、無害化したものから順次、コンクリート骨材としてリサイクル活用していけば、廃棄ロスがない。護岸ブロック、波消しブロック、プレキャスト部材などの素材として十分検討できると見込む。
 同案は最終3案に残ったが、採用には至らず、2023年8月からより安価な海洋放出が始まった。しかし放射能汚染水の発生は当分続く。
 前述のように、アブソーブセラの活用方式なら、原材料は現地調達のものでよく、原発施設の隣接地にセラミックの製造拠点を設ければ、現地の陶磁器事業者の手による生産、保管・管理で雇用の創出も見込めると、石崎氏らは今後への期待を持つ。
 その一方、汚染水処理以外での用途開拓も模索。配合の調整で、吸水性ではなく透水性を持つものとしてつくることもでき、既存の透水性コンクリートよりも低コストとの試算もある。材料調達、製造のハードルが低いことを生かし、国内外で役立てられることを目指している。
細かな有機物を粘土に混合し低めの温度で焼くことで、極めて多孔質な形状となり優れた吸水性を持つ「アブソーブセラ」
細かな有機物を粘土に混合し低めの温度で焼くことで、極めて多孔質な形状となり優れた吸水性を持つ「アブソーブセラ」


会社概要


株式会社クリエイト寿づか
本社/三重県四日市市末永町12‐18‐1
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〔事業内容〕陶磁器の製造販売、レジン商品、食品などの輸出入・販売、飲食店の営業・物品販売、雑貨卸売など