どこか調子が悪かったら、内科に当たる整備部で治療。何かにぶつけて車体が凹んでしまったら人でいうと骨折したようなものなので、外科にあたる板金塗装部で治します。定期点検は人間ドックのようなもの。また眼科に当たる部署でヘッドライトのコーティングをしたり、第二工場のカスタマーカー部門では、車体の色を変えたり、屋根を切ってオープン化にしたりと、まさに“美容整形”までしています。以前は壊れた車の修理を行っているだけでしたが、今はお客さまが好きな車を作るためのお手伝いをさせてもらうということも始めたんです。
僕自身、アニメのルパン3世カが乗っている車が好きで、ダイハツの「エッセ」をそれ風に改造してみました。だから屋根も切ったんですよ。工場長が「切るとき、勇気がいりました」と言っていました(笑)。

自殺未遂を図った印刷会社の経理マンからの起死回生
私は2009年にこの会社に入りました。先代の子供ではなく、その前は豊橋が本社にある印刷会社に勤めていました。
経理担当の中間管理職で、上場を目指していた時にリーマンショックが起きて大きな赤字が発生。お金を扱う部署でしたから追い詰められて自殺未遂を図ったんですよ。豊橋駅のホームから家内に「今までありがとう」と電話しました。「息子たちのことを頼むね」と。それからのことはうろ覚えなのですが、「とりあえず帰ってきてから死ねばいいじゃない」みたいなこと言われたようで、家に帰ると家内が「辞表を出して退職すればいい」と。うつ病になっていたようで、自分の中にはその選択肢がなく、言われて「あ、辞めていいんだ」と初めて思いました。
そこから退職願いを出して、心療内科に通って治療。経理じゃない仕事を探そうと思ってハローワークに行ったりしていると、家内の兄さんの奥さんのお父さんがノムラ自動車の社長で、そこが営業を募集してると紹介してくれたんです。
営業経験はなかったのですが、会ってくれた野村社長(のちに会長)に「頑張ってみるか」と言われて入ったところ、もう楽しくて!
だって、印刷会社の経理では一生懸命やっても誰も喜んでくれなかったのに、ここでは事故車を取りに行くと「うわー、来てくれてありがとう!」ってから言ってもらえるんです。さらに修理した車を納車したら「こんなに綺麗にしてくれて、ありがとう」てまたお礼を言われたんですよ。お金をいただく立場なのに、お客さんから2回もありがとうって言われる仕事に、もう感激して震えました。
「この仕事はいい! お客さんが喜んでくれる仕事なんだ。一生の仕事としてやっていこう」と一生懸命頑張っていったら、野村社長には身内の後継者がおらず、後を託す人材を探していたこともあって、僕が継ぐことになっていったんです。
でも、そうしたら今まで僕の上司だった部長と、年配の工場長とかが、部下になってしまう。それなのに彼らは僕をすごく支えてくれたんです。もう涙が出ましたね。こんないい仲間たちのために、僕は一生懸命頑張って社長をやろうと決心しました。それが僕の原動力です。

同友会でも全力活動、地域貢献も
愛知中小企業家同友会には、野村会長が長年入っていて、“社長”の勉強をする場として僕を送り出したんです。 なにしろ僕の場合、社長になるために育ってきたわけではないですから。
そうして同友会でも真面目に100%の力で取り組み、いろいろな役員も経験。昨年は中村地区の会長をさせてもらったのですが、その間に中村区役所や中村区社会福祉協議会などともご縁ができました。
同友会には「地域とともに歩む中小企業」という理念がありますが、中村地区会長だったときに「地域と企業が共に作る未来」というワークショップが行われまして、地域の方はが我々中小企業に何を求めてるかというのをじかにお聞きする機会を得たんです。
実はノムラ自動車では10年前から毎週火曜日の朝礼前、町内の掃除を続けていて、顔なじみとなった登校中の小学生が挨拶をしてくれるようにもなっています。そんな話をしたところ、中村区の「ちょいサポ」という制度の地域活動協力事業所の第1号となることに。
また社会福祉協議会からは「引きこもりの子を支援してほしい」ということで、今17歳くらいの子が週1、2回、当社に来て洗車とか手伝ってくれています。社会に飛び立つ第一歩にするためです
少年サッカーチームのスポンサーなどもしています。2023年に全国優勝した強豪チームですが、やっぱり活動を続けるにはお金がかかりますからね。
当社の理念が「ノムラ自動車に係るすべての人が幸せになるために」です。だから、地域の人たちがもとめていることで、ノムラ自動車ができることがあるならチャレンジします。そしてそれには僕たちも自身も楽しくなかったら続きませんから、喜んでやっています。
本業でも、大手さんではやっていない “車のちょっとした困りごと”に対応。そうしてお客さんのためにできることを一生懸命やっていると、なんだかお釣りの方が多いって言うんでしょうか、知り合いを紹介していただけたりと、お客さまが広がっていっています。
























