地球温暖化対策を「史上最大の詐欺」と公言するトランプ大統領は、政府高官を派遣せず、アメリカ政府不在の会議となりました。他方、中国の存在感が高まったことが注目されます。中国は、世界最大の温室効果ガス排出国であると同時に、世界最大の再エネやグリーン技術の導入国、製造・輸出国でもあるのです。
CO2排出量削減、再エネ・EVの産業分野でも大きな存在感
中国の24年の化石燃料由来CO2排出量は 約11,173百万㌧で世界1位です(米国は4,619百万㌧で2位、インドは2,953百万㌧で3位、日本は1,005百万㌧で5位)。中国の1人当たりCO2排出量は 約7.5㌧(21年)で、米国よりは低いものの、人口規模が大きいため総排出量では世界最大です。
中国は、30年までに排出量をピークアウトし、60年までに排出量を実質ゼロにする計画で、35年までに排出をピーク比7~10%削減という中期目標を提示しています。最近の実績では、25年上半期には太陽光発電の急増で排出量が前年比1%減少するなど、再エネ拡大が効果を見せ始めています。
また、再生可能エネルギー(太陽光・風力など)およびEV(電気自動車)の分野で、中国は既に「世界最大の市場・生産国・輸出国」という地位を確立し、今後もその影響力は拡大すると見られています。
太陽光発電(PV)については、太陽光パネル製造で中国企業が世界シェアの80~90%を占めています。また、世界の太陽光発電設備の年間導入量の約45~50%が中国国内におけるものです。この背景には、国家主導の巨額投資と大規模な内需市場、そしてサプライチェーンの完全内製化があり、それが価格競争力を強めています。風力発電については、風力タービン製造における中国メーカーの世界シェアは約50~60%で、新規設置容量(年間増設)の約60%が中国内です。
中国のEV販売台数(BEV+PHEV)の世界シェア(24~25年時点の概算)は、世界の約60%を占めています(欧州勢約20%、米国勢約10%、その他約10%)。中国のEVメーカーのBYDは米国のテスラとともに世界トップクラスであり、上位10社のうち 5~6社が中国企業です。バッテリーについても中国メーカー(CATL、BYD等)が世界シェアの約60~65%を占め、世界上位10社のうち7社前後が中国メーカーです。
中国国内での年間EV販売は、約900~1,000万台となっており、新車販売に占めるEVの比率は40~50%に達しています(日本は2%弱)。EVの輸出台数も世界最大です。その背景には、圧倒的なコスト競争力とバッテリー生産の支配、そして垂直統合モデルがあります。
このように、現状では、再エネやEVの技術やコストでは中国優位が続くことが見込まれる一方、今後地政学・通商政策の動向が最大の不確定要素となります。
資金・技術両面の提供で強まる中国の途上国代表的立場と影響力
中国はCOP30などの国際交渉では途上国の立場を強調しつつも、再エネやEVの技術力、資金供与能力を背景に、「途上国の代表」として国際的リーダーシップを発揮しようとしています。気候変動枠組条約とパリ協定に基づく脱炭素に向けた国際的取り組みの進展は、中国に経済的・地政学的利益をもたらすため、多国間主義とその枠組みを強く支持しています。
中国はこれまで「一帯一路」などを通じ途上国に再エネなどの脱炭素化プロジェクトを展開し、資金と技術両面で支援を強化しています。「途上国の声を代弁する」立場を維持しつつ、戦略的にグローバル・サウス、特にアフリカ、中東諸国などに資金・技術を提供し、影響力を拡大しています。
現実にCOP30では、米国が不参加となり、EUも内部対立でやや足踏みしたなかで、中国はブラジルと並び交渉でより大きな役割を果たしました。一方で、中国は「歴史的排出責任は先進国にある」と主張し、途上国の立場を強調し、資金や技術支援をまずは先進国に求める姿勢は一貫しています。さらに一方的貿易措置(EU炭素国境調整措置(CBAM)を念頭)をUNFCCC/パリ協定での議題化に尽力しつつも、他方では自らが輸出管理を行う重要鉱物への言及は阻むことに成功しています。
気候国際交渉において、リーダーシップを発揮する条件は、途上国支援を拡大すること、自国での排出削減を着実に進めること、そして透明性の高い行動を示すことです。
中国は今後、「途上国の代表」としてリーダーシップを発揮する可能性が高いものの、先進国からは「最大排出国としての責任」を問われるため、その両立が課題となります。中国は途上国の立場を維持しながらも、技術力と資金力を背景に国際的影響力を強めており、COP30を契機にその可能性がさらに高まっています。























