2025年10月21日の政権発足以降、マスコミ各社が実施した世論調査では軒並み驚異的とも言える高い内閣支持率を叩き出し、まさに向かうところ敵無しの状態が続く高市政権。そしてこの高い支持率を背景に次々に政治的課題を処理し、それがまた高支持率のキープに一役買うという好循環の状態が続いている。
 果たして年明け、1月に召集が予定されている通常国会においても、こうした状態が続くのかどうかに各党の注目が集まっていると言えよう。とは言え通常国会に先送りされた課題も少なからずあることも事実なのだ。
 例えば、いわゆる「政治と金」の問題に決着をつけるためには、企業・団体献金の扱いをどのように規制するかについて一定の結論を出す必要があるが、この落とし所についてはまったく見通しが立っていないのが実情だ。さらには、自民党にとっては連立パートナーである日本維新の会が徹底的にこだわった衆院定数削減法案については、国会に提出されはしたものの、委員会では審議すらされずに放置され、そのまま会期末を迎えることになってしまった。
 この定数削減法案の今後の扱い方次第では、日本維新の会の連立離脱という事態だって、まったく無いわけではないだろう。
 加えて高市首相の政権基盤は相変わらず脆弱なままの状態で、通常国会を迎えることになる可能性が高い。何せ衆院では自民・維新の連立政権はかろうじて過半数を維持してはいるものの、参院では過半数割れとなっているのが実情だからだ。
 つまり内閣支持率だけで捉えるならば、強力な政権であるかのように見える高市政権だが、一皮めくるとさまざまなウィークポイントが浮かび上がってくることも事実なのだ。
 そしてこうした局面を打開するのに最も手っ取り早い手段は、この高い内閣支持率をバックに解散に打って出ることに他ならない。だからこそ永田町の一部では「通常国会冒頭解散」、つまりは「1月解散」の噂が実しやかに囁かれているのだ。
 しかし筆者としては、その可能性は極めて低いと見ている。なぜなら先の自民党総裁選の最中に、高市氏の口から以下で紹介するような言葉を繰り返し聞いていたからに他ならない。
 「前倒しで総裁選が実施された結果、3ヵ月近い政治空白が生じてしまった。さまざまな課題が山積する中、こうした政治的空白が生まれてしまったことについては、私自身国民の皆様がたには大変申し訳なく思っている。
仮に私が総理総裁に選ばれることになった場合には、まずはこうした課題を解決していくことに全力を傾けていきたい」 
 おそらくこれは、高市首相の本音だろう。真面目な性格で知られる高市首相らしい発言だ。そして高市首相の言う「政治空白」が解消されるタイミングは、2026年度予算が成立した時点以降ということになるはずだ。
 とは言え26年度予算に関して言えば、与党である自民党、日本維新の会に加えて、政府及び自民党との協議を経て、178万円まで「年収の壁」の引き上げを実現させた国民民主党がその成立に協力していく方針を固めたことで、年度内(26年3月末)での成立がほぼ確実な情勢となっている。
 そうなると解散・総選挙は26年4月以降と見るのが妥当な線ではないだろうか。
 とは言え来たる総選挙で仮に高市自民党が大勝し、与党の議席数が衆院で過半数を超えたとしても、高市政権が盤石な体制を構築できるわけではないという点は認識しておくべきだろう。なぜなら参院においては、依然として少数与党の状態が続くからに他ならない。つまり衆院優先の規定がある予算案などは別として、それ以外の法案は野党の協力無くして成立しえないのである。
 そうだとすると、我々が注目していかなくてはならないのは、解散・総選挙がいつ実施されるかではなく、高市政権が維新以外に連立パートナーを増やせるかどうかという点だと言えないだろうか。
 いずれにしても今日本の政治情勢が大転換期を迎えていることは間違いない。具体的に言えば、これまでの「政権交代可能な二大政党制」という状況から、「多党化の時代」へと大きくシフトしつつあると見ていいだろう。その意味するところは、一つの政党や政治勢力が国会においてコンスタントに多数派を形成できる状況ではなくなった、ということに他ならない。違った言い方をするならば、一つの政党や政治勢力では、多様な民意を吸収することが出来なくなっていることは間違いないだろう。
 そしてこうした政治情勢を受けて2025年は衆議院議長の下に設置された超党派の議員による協議会が立ち上がり、一年間かけて選挙制度に関する議論が進められてきた。具体的には、今の「小選挙区比例代表制」を見直そうという動きが起こってきていたのである。この議論は2026年にも集約され、方向性がまとめられることになろう。改めていうまでもなく、こうした動きは前述したような多党化の時代を強く意識したものであることは間違いない。
 今後高市政権が連立の枠組みを拡大していく方向に動くのであれば、こうした多党化の時代の中で政権戦略を構築していくことは絶対に必要だろう。
 おそらく私たちは2026年、これまでとはまったく違った政治の姿を目の当たりにすることになるはずだ。