あらゆる経営者が理解しているが、消費税を支払っているのはわれわれ事業者である。事業者は、年度の決算が終わった後に、消費税額を確定させ、支払う。具体的には、売り上げに税率を掛け、仕入れの税額を差し引いた金額を支払うのだ。というわけで、決算をしてみない限り、正確な消費税額は分からない。
 もちろん、昨年度の確定消費税額が48万円を超す場合は、中間申告と納付が必要なのだが、いずれにせよ年度の見込みとは「ズレ」が生じる。
 2025年4月に始まった25年度の社会保障給付の「財源」として、消費税が使われることはあり得ない。何しろ、1回目の中間納付以前は、誰も消費税を支払っていないのだ。
 財務省は、「消費税を支払っているのは消費者で、事業者は消費税を預かっておき、すぐさま納付している」という印象操作を30年間も続けてきた。消費税の中間申告・納付は、「昨年度の消費税額に基づき、今年度の利益を見込み、本来は来年度、納付する予定の消費税を今、納付する」ことになるため、消費税が「預かり金ではない」ことの決定的な証拠となってしまう。
 中間納付は、今年度の売り上げが「ゼロ」であっても、納税を強いられる。つまりは、架空の売り上げに基づき、税額が決定されているのだ。
 預かり金説が正しいとなると、われわれ事業者は「顧客から支払われていないおカネを預かっている」ことになる。そうはいっても、支払われないものは、預かれない。
 例えば、完全に間接税である入湯税。入湯税は、「顧客が支払った入湯税」を事業者が預かり、特別徴収義務者として毎月の入湯客数・税額などを帳簿に記載・保存し、まとめて振り込むことで納める。つまりは、おカネが「消費者↓事業者↓政府」と動くのだ。
 それに対し、消費税は「消費者↓事業者↓政府」ではない。「事業者↓政府」があるだけだ。そして「消費者↓事業者」のおカネの流れが「ゼロ」であっても、中間納付として徴税されるのだ。
 だからこそ、「昨年度の消費税額を参考に、来年度に支払う消費税を、今年度納める」という中間申告・納付が成立するのである。「消費者↓事業者」は消費税と関係がないのだ。
 入湯税とは異なり、事業者の現在のビジネスは納税と「無関係」である。そのため、売り上げ・利益の都合でキャッシュがない企業は、銀行から借り入れてまで中間納付の消費税を納めている。
 それにしても、「消費税は間接税」「消費税は預かり金」といったレトリックを、徹底的に否定することになる中間申告・納付が、なぜこれまでクローズアップされてこなかったのだろうか。
 理由は、
①そもそも中小企業の経営者(もしくは税理士)でもなければ、中間申告・納付の存在を知らない
②実際に還付されなければ、還付の存在に気が付かない(私がそうだった)
ためだろう。
 多くの国民は(政治家を含め)消費税を支払っていない。理由は、消費税を支払うのは消費者ではなく事業者であるためだ。
 同時に、大企業の経営者であれば、いちいち消費税の中間申告・納付についてチェックしたりはしないだろう。あるいは、少なくとも意識はしない。あくまで「自分で払っている」中小企業経営者でなければ、気が付かないのだ。
 中間納付があるため、今年度が終わり、昨年度の税額に基づく消費税の中間納付分が「納め過ぎ」というケースが出てくる。その場合は、政府が決算後に還付してくれる。
 この中間納付と還付は、「スーパーを見れば分かりますが、そのシステムを変えるだけで1年はかかるということでございます。だから、物価高対策として即効性がない(石破茂総理大臣、2025年5月31日)」という消費税減税否定論を打ち砕く。何しろ、システム改修前はこれまで通りの税率で「払わせすぎ」にしておき、後で還付すればいいだけなのだ。
 同時に、店頭価格は「価格+消費税」で決められているわけではないことをも証明する。何しろ、事業者は「価格に含まれているはずの消費税」を、製品やサービスの販売前に支払わされている。
 となれば、消費税が減税された際に、店舗などは単に「値下げをすればいい」という話になる。消費税減税には、物価高対策として即効性があることを証明することになるわけだ。